既製品灸の比較①(山正)

やいとSTATION

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お灸は透熱灸。

という時代は、とうの昔、お灸と言えば使いやすく加工灸(台座灸や筒灸)のことを指すようになりました。
筆者は、透熱灸とはいいませんが未だ直接灸にて施術にあたる一術者です。
患者さんへお灸を勧める時は、ほぼ台座灸を勧めています。(たまーに艾を求める人もいるので)

理由は、安全だから。ヤケドの心配ではなく、火事の心配に置いて比較的安全だから。
一般人でも使えるように加工されたものなら、火を使うにしても大丈夫だろうなという考えです。

ヤケドをさせないために加工灸を使用していますと言う先生がいたらご注意を。
加工灸でも火傷をする可能性はあります。
それなりの熱量で刺激を生体へ与えます。
使い方に依りますが、火傷をする可能性はそれなりにあります。

独断と偏見ではありますが、一般の方へお灸を勧めるならこれ!安心してオススメできるお灸はどれ?
という目線で、いつもお世話になっている山正さんの製品群をMOXATHLightで温熱測定していきます。

台座灸編

山正さんの台座灸『長生灸』は、ハード、レギュラー、ライト、ソフト、お灸日和の5種類
お灸日和は香りつきの微煙灸になっているので特殊灸になります。

結論から言うと、「ソフト」「お灸日和」は別にしてあと3種類はどれもあまり変わらない様に思う。
オススメとして選ぶとしたら「レギュラー」
「お灸日和」は熱いのが好みしたらどうぞ。
「ソフト」はちょっと特殊な使い方で有効なので普通に使う分にはオススメできない。
では、やっていきましょう。

違いはそれぞれ触り比べると、台座の厚みに違いがあるくらい。あと色か。
台座の厚みは実測でこんな感じ。

  • 台座の穴が貫通している。
    • ハード 2.15ミリ(メタリックレッド)
    • レギュラー 2.4ミリ(シルバー)
    • ライト 2.9ミリ(メタリックグリーン)
  • 台座の穴が貫通していない。
    • ソフト 3.3ミリ(ピンク)
    • お灸日和 3.4ミリ(ブルー)

艾のサイズはどれも一緒の規格品ように見えます。(お灸日和は材質が違うがサイズは同じ)
製品の箱にはお灸日和以外の参考温熱がグラフできれいに4分割されて中間温度はライトのようです。
目標温度的なものは、特別記載がありません。
では、実際はどんなものなのか?やっていきましょう。

長生灸【ハード】

推定目標温度 42~43℃

一部ばらつきが見られました。
ばらつきの原因の一つとして挙げられるのは接着剤。
ch3の次に測定したch2は温度が低いのですが、シートの中から接着剤がしっかりと穴を塞いでいる物を選択。

結果は予想通り低い温度になりました。

と言う事は、接着剤の薄い穴がしっかりあるものは温度が高いという結果ですので、製品としては少々ばらつきが大きいのではないかなと思います。

やってみた感じ

上の艾が台座近くまで燃えて来たら、台座全体で熱さを感じてきて、グッと熱さを感じます。
その後サーっと熱が収まる熱感でした。

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長生灸【レギュラー】

推定目標温度 42.5℃

ピーク温度のばらつきが少なく安定していて、ハードであった接着剤問題も見た感じあまりないです。
温度の上昇率にばらつきがあるのですが、測り方の問題?
これで物足りないのであれば、筒灸をオススメすることになるかなぁ
以前の計測はかなりばらついていましたが、今回はセンサーの温度が下がったのを確認してやりました。

やってみた感じ

熱の感じるタイミングはハードと同じ、違いはピンポイントでチクリとした熱さを感じました。
台座の蓄熱のせいか、若干ハードよりは暖かさを長く感じる。

長生灸【ライト】

推定目標温度 40~41℃

こちらは用意したのがサンプルのみ、(なぜかいっぱいあった。取得時期不明)ですので製品安定性は不明。
穴が接着剤で埋まっているということはないので、ハードのようなピーク温度のばらつきは小さい見られないです。
温度の上昇率はレギュラーと同じ感じでばらついているような感じ。

やってみた感じ

熱の感じるタイミングはハードと同じ、レギュラーのようなチクリとした熱さは少なく終始暖かい。
台座の蓄熱のせいだと思うが、明らかにハードより暖かさが長く感じる。

ハード・レギュラー・ライトの中での使い方(個人的感想)

3種類で比べてもそれほど大きな違いがない様に思うので、お好みでどうぞと言った所。
ピーク温度の低さと加熱時間から火傷をする可能性は複数しなければ何も問題ないが、効かせるためには一箇所に2~3壮くらい同じ場所にやりたい。(その時の感じ方に合わせる必要はある)

ハードに関しては、製造の問題だろうと考えていますが、接着剤の量が安定すればピーク温度が安定するんじゃないかと想像します。

長生灸【ソフト】

推定目標温度 37℃

今までの長生灸と違い、台座の穴が貫通していないタイプになります。
かなり熱も上がりにくいのでほぼ体温よりちょっと上くらいを狙って作ったものだと思います。
以前、山正さん主催の美容灸のセミナーで顔にお灸をした時このソフトを使っていました。

閾値(灰色のエリア)が36℃、体温想定ですので「なんとなく温い」くらいの感じ方になると思います。
使い方としては、極度の敏感肌へのお灸、水分量の多い場所へのお灸でしょうか。
かなり使える場所は、限定されると思われる商品です。

グラフではch4が他より高い温度になっていますが、これも接着剤な気がします。
台座の穴は貫通していないので今までの様に詰まる問題はない。
しかし、燃焼を観察していて、底面で燃焼が小さく続いていたのが観察されました。
艾との接着面で接着剤が窒息部分を作り一気に消火できないためじゃないかと考えています。

このお灸に関しては熱いと感じたらすぐ外す。
元々熱く感じやすい所へすることを想定してこの温度設定なら十分注意すべきだと考えます。

やってみた感じ

予想通り「なんとなく温い?」という感じ。火が消えてしばらくしたら台座が温かい感じでした。
貫通穴がないので、ヤニも残らないのでそれはそれでいいのかも。

長生灸【お灸日和】

推定目標温度 51℃

お灸日和は、艾ではなく太いアロマ線香が台座灸の台座にくっついている商品
燃焼時間が長くて測定しきれませんでした。
下がりまではなんとか測定できているのでピークはかなり安定しています。

こういう炭や線香のような固形物を燃焼する系のお灸はとにかく燃焼温度と時間が長いです。
なので、基本熱いと思ったら外すか移動しながらの使用になると思います。

熱いことが前提になっているせいか、スポンジの熱緩和用のスポンジが付いています。
またこちらを使っての測定もしてみます。

ch5の温度が低いのは何なんでしょ?原因不明です。
売りでもある香り付きなのですが、好みが出るのでなんとも微妙。選べたらいいんですけどね。

やってみた感じ

お灸に慣れていれば問題のない熱さですが、結構持続が長いので注意が必要かなと感じます。
貫通穴がないので、チクッとした熱さは感じにくいです。
やってみて結構致命的だと思うんですけど、皮膚への糊残り。改善お願いします。

ソフト・お灸日和の中での使い方(個人的感想)

ソフトはかなり温度が低いので治療として使うことはかなり不向きな商品だと感じます。
使い方としては、「はじめてのお灸をする習慣づけ」でしょうか。
治療家としての使い方は、場所による選択的使用になると思います。

お灸日和は山正さんの商品群唯一の微煙タイプ。
あの煙が駄目という人には良いかもしれませんが、香りは賛否両論。
熱さは結構でしっかりなので使い方を伝えてからになるかなと思います。
温度が高いので一箇所につき1つでいいので、お値段は高いですが、トータルこれが一番安いかもしれない。

山正製 台座灸編 まとめ

治療を前提に自宅施灸をしてもらう時にオススメする台座灸は、最初の結論どおり「レギュラー」
お灸は熱で皮膚へ刺激を入れたいのでやはりある程度の刺激熱量がほしい。
ハードではない理由としては製品安定性が、測定していてもレギュラーの方が高いなと感じた。

香りの好き嫌い(これは艾でもそうなのだけど)はあるが、もっと熱くても良いのなら「お灸日和」
こちらは熱量が大きいので刺激は強め。
ただ、ジワジワ上がる熱さなので熱いという感じは少ないかもしれない。
気がついたら熱いなぁ。という感じ。水ぶくれ要注意!

「温めるお灸なんだから熱くない方がいい」と言われるかもしれないが、生体を温めるのにお灸は案外不適格。
理由としては、加温エリアが狭い。
温めるだけが目的なら艾団子を燃やす温灸施術だろうし、各家庭でするならカイロの方が良いんじゃないかな。

お灸は皮膚を刺激するための熱刺激施術方法だと思う。
刺激の結果、生体が温まることがあっても、お灸自体の熱で生体を温めてはいないように思う。
というのが個人的意見。

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